告知書チェックリスト
不動産売却で揉めない物件状況報告書の書き方
告知書は、売主が知っている物件の状態を買主に伝えるための書面です。 雨漏り・漏水・シロアリ・境界・越境・近隣トラブルなどを曖昧にしたまま売ると、引渡し後に「聞いていない」「説明と違う」というトラブルになりやすくなります。
このページでは、千葉県で不動産を売却する売主向けに、実際に告知書を書く前に確認したい項目を、閲覧者がそのまま使えるチェックリスト形式で整理します。
この記事の監修者
千葉市での不動産売買実績300件。土地・戸建・マンション・収益物件の売買を中心に、相続不動産・空き家・築古物件・告知事項がある物件の売却相談まで実務対応。
- 運営会社
- あいうえお不動産株式会社
- 得意分野
- 土地・戸建・マンション・収益物件の売買
- 対応エリア
- 千葉市を中心に千葉県内
1まず結論|告知書は「不利な書類」ではなく「揉めないための書類」
告知書は、物件の悪い点を並べるための書類ではありません。売主と買主の認識をそろえ、引渡し後のトラブルを減らすための書類です。
不動産売却では、買主が「当然問題ない」と思っていたことと、売主が「古いから仕方ない」と思っていたことがズレると揉めます。特に、雨漏り、給排水管の不具合、シロアリ、境界、越境、近隣トラブル、設備故障は、契約後に争点になりやすい項目です。
買主が判断できる状態を作るため。売主の記憶を整理して、契約前に共有します。
「言ったつもり」「聞いていない」「古いから当然」という認識ズレです。
告知書、付帯設備表、契約書の内容が一致し、買主が納得して契約している状態です。
告知書で大事なのは、売主が知っている事実を「買主が判断できる粒度」で残すことです。あいまいな表現を避け、発生時期・場所・程度・対応履歴・現在の状態まで整理すると、後から揉めにくくなります。
2書き方の基本は5点セット
告知書を書くときは、「不具合があります」だけでは足りません。買主が知りたいのは、その不具合がどの程度のものか、今も問題があるのか、修理済みなのかです。
発生時期。例:3年前、2024年の台風後、入居前から。
場所。例:2階北側洋室、浴室天井、敷地東側ブロック塀。
症状・頻度。例:大雨時のみ、常時、過去1回だけ。
修理・点検履歴。例:業者修理、点検のみ、未修理。
現状。例:現在は再発なし、軽微に残る、未確認。
「〇年〇月ごろ、〇〇部分で〇〇の症状がありました。〇〇業者により〇〇の対応を行い、現在は〇〇の状態です。資料は〇〇です。」
「正確な時期は不明ですが、過去に〇〇があったと聞いています。現在、目視で確認できる範囲では〇〇です。修理資料は残っていません。」
「たぶん大丈夫」「古いので仕方ない」「一応直っています」「気にしたことはありません」などの表現は、買主との認識ズレを生みやすくなります。
33分で確認する簡易チェック
まずは、次の項目に1つでも心当たりがないか確認してください。該当するものがあれば、告知書で整理する候補です。
すぐに「悪い物件」と判断する必要はありません。大事なのは、買主にとって判断材料になる形で整理し、契約書・告知書・付帯設備表に矛盾が出ないようにすることです。
4建物・設備のチェックリスト
建物・設備の告知で多いのは、雨漏り、漏水、シロアリ、給排水管、給湯器、エアコン、換気扇、インターホンなどです。古い家ほど「どこまで説明すべきか」が曖昧になりやすいため、項目別に確認しましょう。
築古戸建て、空き家期間が長い家、雨漏りやシロアリが不安な家、相続で状態を把握しきれていない家は、売却前に建物状況調査を検討すると、告知内容を整理しやすくなります。
5土地・境界のチェックリスト
土地・戸建ての売却では、建物以上に境界・越境・私道・埋設物が問題になることがあります。買主が建築計画を立てる際に影響するため、曖昧なまま契約すると引渡し後のトラブルにつながります。
境界や測量で迷う場合は、 土地売却は測量する?しない? も参考にしてください。
6近隣・環境・心理的な告知事項
建物や土地そのものに不具合がなくても、近隣・環境・過去の出来事が買主の判断に影響することがあります。ここは売主が「大したことではない」と思っていても、買主にとっては大きな判断材料になることがあります。
| カテゴリ | 確認すること | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 近隣トラブル | 騒音、臭い、ゴミ、通行、境界、ペット、駐車など | 解決済みか継続中か、頻度と状況を整理する |
| 環境 | 騒音、振動、臭気、日照、眺望、周辺工事 | 売主が把握している範囲で、事実と発生状況を書く |
| 心理的な事項 | 事件・事故・火災・孤独死など、買主判断に影響し得る事項 | 個別判断になりやすいため、不動産会社へ早めに共有する |
| 行政・法令 | 建築制限、道路、都市計画、土砂災害、浸水想定など | 重要事項説明との整合性を確認する |
近隣トラブルや心理的な事項は、自己判断で「書かなくていい」と決めると後で問題になりやすい分野です。売主の記憶にあることは、まず不動産会社へ共有して扱いを確認しましょう。
7マンション・管理関係のチェック
マンションの場合、専有部分の設備だけでなく、管理規約・管理費・修繕積立金・大規模修繕・ペット・駐車場・リフォーム履歴も買主の判断材料になります。
管理規約、重要事項調査報告書、長期修繕計画、総会議事録、リフォーム履歴を早めに揃えると、買主の不安を減らしやすくなります。
8書くか迷うグレーな項目の扱い
告知書で一番迷うのは、「確実ではないけれど気になる」「昔のことで資料がない」「今は問題ないが過去にあった」という項目です。こうしたグレーな項目は、隠すよりも、分かる範囲と分からない範囲を分けて書く方が安全です。
「〇年ごろ、2階北側洋室天井に雨染みがありました。〇年〇月に屋根補修を行い、以後、売主が把握する限り再発はありません。」
「敷地東側のブロック塀について、隣地との境界との関係は未確認です。確定測量は実施していません。」
「売主は居住していなかったため、過去の修繕履歴は詳細不明です。室内目視で確認できる範囲では〇〇を確認しています。」
「過去に隣地所有者と樹木の越境について話し合いを行いました。現在は剪定済みで、継続中の協議はありません。」
「今は問題ないから書かない」「資料がないから書かない」「買主に聞かれなければ言わない」という対応は、引渡し後に不信感を生みやすくなります。
9付帯設備表・契約書との整合性
告知書だけ整えても、付帯設備表や売買契約書と内容がズレていると、かえってトラブルになります。特に設備の故障、現況渡し、契約不適合責任の範囲は、書類同士の整合性が重要です。
物件の過去・現在の状況を伝える書類。雨漏り、境界、近隣、修繕履歴などを整理します。
設備を残すか、撤去するか、故障があるかを整理する書類です。
責任範囲、期間、現況渡し、特約などを契約条件として整理します。
契約前に見直すポイント
- 告知書に書いた不具合が契約条件と矛盾していないか「現況渡し」「免責」「修理して引渡し」などの条件を確認。
- 設備表に故障・不具合が反映されているか給湯器、エアコン、換気扇、食洗機、照明など。
- 買主が了承した内容が書面で残っているか口頭説明だけで済ませないことが重要です。
契約書の確認は 売買契約書で注意するポイント 、契約不適合責任は 契約不適合責任と売主の対策 も参考にしてください。
10告知事項が多い物件の売り方
告知事項が多い物件でも、必ず売れないわけではありません。ただし、一般の買主に向けて仲介で売るのか、不動産会社に買取で売るのか、買取オークションで比較するのかによって、価格・期間・負担が変わります。
| 売り方 | 向いているケース | 告知事項との相性 |
|---|---|---|
| 仲介 | 状態が比較的良く、買主に説明すれば納得されやすい物件 | 価格を狙いやすい一方、告知内容・見せ方・契約条件の整理が重要 |
| 直接買取 | 早く売りたい、内見対応が難しい、状態不安が大きい物件 | 現況のまま条件を固めやすいが、価格は仲介より低くなりやすい |
| 買取オークション | 買取の安心感を残しつつ、複数業者で比較したい物件 | 告知事項を開示したうえで、条件の良い買取先を比較しやすい |
買取オークションは、全国約13万社の不動産会社が参加する仕組みで、直接買取より価格が上がりやすく、条件次第では仲介に近い比較ができることもあります。手数料は1.5%+消費税です。告知事項がある物件でも、最初から情報を開示したうえで比較できるため、判断が早くなります。
仕組みを見る場合は 買取オークションの詳細はこちら 、申し込みを検討する場合は 買取オークションに申し込む(無料) を確認してください。
告知書の書き方に迷ったら、事実整理から一緒に確認できます
雨漏り、シロアリ、境界、越境、残置物、近隣トラブル、設備不良など、どこまで書くべきか迷う項目は少なくありません。売却前に整理することで、買主との認識ズレを減らせます。
11よくある質問
告知書は必ず書かなければいけませんか?
実務上は、売主が把握している物件状況を買主に伝え、後日のトラブルを防ぐために作成されることが多い書類です。特に中古住宅・土地・相続物件では、告知書を通じて認識をそろえることが重要です。
不利になりそうなことも書いた方がいいですか?
買主の判断に影響する可能性がある事実は、隠すよりも整理して伝える方が安全です。問題は「不具合があること」そのものより、買主が知らずに契約し、引渡し後に発覚することです。
昔の雨漏りで、今は直っている場合も書くべきですか?
過去の雨漏りでも、買主の判断に影響する可能性があります。発生時期、場所、修理内容、現在の再発有無、資料の有無を整理して書くのが基本です。
相続した家で、過去の状態が分かりません。どうすればいいですか?
分からないことを無理に断定しないことが重要です。売主が居住していなかったこと、確認できた範囲、資料が残っているか、目視で分かる不具合を整理します。
告知書に「不明」と書いても大丈夫ですか?
不明なものを不明と書くこと自体はあります。ただし、「何も確認していない」のか「確認したが分からなかった」のかで意味が変わります。どこまで確認したかを添えると誤解が減ります。
設備の故障は告知書に書くのですか?付帯設備表に書くのですか?
設備の状態は主に付帯設備表で整理しますが、売主・買主の認識を合わせるため、告知書や契約条件とも矛盾しないように確認します。特に給湯器・エアコン・水回りはトラブルになりやすい項目です。
告知事項が多い物件でも売却できますか?
売却できるケースはあります。仲介で丁寧に説明して売る方法もありますし、状態不安が大きい場合は直接買取や買取オークションを比較する方法もあります。大切なのは、隠すのではなく、売り方に合わせて開示と条件整理を行うことです。